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最近は演出備忘録。
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(※この回より映画の内容に触れる部分が多くなります。いわゆるネタバレしますのでなるべく映画鑑賞後に読まれることをお勧めします)

撮休後、都内某ビルの近代的な事務室で金井淳と北島萌が出会う(正確には再会する)シーンの撮影を行った。ストーリーの構成上後半の大部分が二人のシーンになっているのだが、スケジュール上も後半は山本浩司と神楽坂恵の芝居が大きなウェイトを占めることになる。
出会う(再会する)場面だが、おぬまはロケハンしたときから現場の大きな窓に据え付けられた電動ブラインドを利用することをずっと考えていた。そ の理由を説明するのになかなかいい言葉が見つからないのだが、今回映画が公開されるにあたって漫画家の花沢健吾氏から寄せていただいたコメントにヒントが隠されている。

この映画は現在進行形成人童貞への鎮魂歌だ。
あの小さな穴に数回チンコを往復するだけで卒業できるのに。
たったそれだけのことに僕たちはもがき苦しむ。
あの穴の奥に光はあるんだろうか?
――花沢健吾(漫画家)

これは本当に偶然なのだけど、おぬまも撮影前から「穴の向こうには何があるのだろうか?」ということをずっと考えていた。それは童貞を卒業した今でもわかったとは到底言えないが、少なくとも童貞の時は、穴の向こうには必ず素晴らしい世界が待っているはずだと信じていたような気がする。さらに考えてみれば、人が産まれるときも暗い穴(同じ穴!)を通過したのちに初めて光の世界にその身を置くことになる。つまり、人は二度、暗いトンネルを通過する。それっていったいなんだろう?
そんなことを考えながら、おぬまは金井淳と北島萌が出会うときに、ブラインドが開くのではなく、閉じるということがこの出会いのシーンに相応しい表現だという勘が働いていた。この穴から抜け出すことができるのか? それが金井淳にとってのこの映画における課題であろうと、おぼろげながら考え続けていた。ブラインドが完全に閉まったとき、ようやくこの映画は始まったのだとおぬまは思った。
出会いのシーンを撮り終えたあと、現場は金井淳の部屋に移動となった。この日は、淳と萌が初めて触れ合うシーンを撮ることになっていた。現場勝 負と考えていた絡みのシーンである。しかし、外は雨だった。もちろん室内に入れば雨を被ることはないのだが、大粒の雨であったため雨音が室内にまで届いて きた。ナイーブなシーンなのでアフレコは難しい。数カット、時々大きくなる雨音の間隙を縫いながら撮ったが、遂にチーフ助監督が残りの撮影中止を宣言し た。雨の多い時期なので致し方ないが、初の“撮りこぼし”となって現場にもやや重い空気が漂っていた。(つづく)

※概ねフィクションですよ!
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