最近は演出備忘録。
俳優は柔らかくなければならない。では、硬い演技とはなんだろう? それは、自分、という中でだけの演技のような気がする。他者が存在しない。直線だけで構成されている。自分と他者を経由する“角度”が不在であることが問題なのではないか。溝口健二が俳優に「反射してください」と言っていたのはそういうこ とではないか。反射角を備えた俳優こそ、優れた俳優と言えるのではないか。そんなことを考えながら、おぬまはカーペットの上をゴロゴロ転がっている神楽坂恵を眺めていた。
寝転びながらの台詞読みは予想以上に効果的だった。神楽坂は自然に台詞を自分のものにして、意識を自分以外のところに向けることが出来ていた。 神楽坂も安心したのか「やりやすいやりやすい」と感想を述べている。しかし、すべてのシーンを寝転びながら演技させるわけにも行かないので、とりあえず再 び動きなしの座りっぱなしで台詞を読んでもらう。寝転んだときの感覚が残っているので、だいぶリラックスしながら、しかも台詞がきちんと入っているので途 中でつかえることもなかった。この調子を忘れないうちに、立ち芝居に戻す。
一度動きながら台詞を読んでもらったあと、今度は頭に入っている台詞をいったん全て捨ててもらった。状況設定から思いつく言葉を自由にしゃべっ てもらう。所謂エチュードである。おぬまはエチュードというヤツが嫌いだったが、台詞に拘りすぎてもらっても困るので芝居を作る過程としてやってもらうことにする。
こうして動きと台詞のスクラップ&ビルドを何度も繰り返した。俳優は柔らかくなければならない。反射角はまだまだ現れていないが、それは脚本が上がってからの話である。
「今日はこのぐらいにしておきましょう」
その日のリハーサルを終えたとき、大手出版G舎から「童貞放浪記」映画化の許諾が得られたという知らせが入った。(つづく)

※概ねフィクションですよ!
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