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最近は演出備忘録。
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映画「童貞放浪記」の初稿が上がってから一週間も経っていないその日、おぬまはプロデューサーI氏とともに私鉄某駅の改札口で極度の緊張を伴いながら人を 待っていた。しばらくすると電車を降りてきたG舎のSさんが改札を抜けて我々と合流した。このあと「童貞放浪記」の原作者・K先生と会い、脚本についての 意見感想を伺うことになっているのだ。
映画にとって原作は全ての源であり、映画製作そのものを左右する巨大な存在である。例えば原作者が「脚本が気に入らないので今回は止めましょう」と鶴の一声を上げればすべてがご破算となる。もちろん原作者本人の意向にかかわらず出版社の商業的な思惑が優先されることもあるが、やはり最終的には 作家自身の考えが決定的な意味を持つ。もちろんそれは、原作となる小説や漫画の作家達の気分に左右される悲劇、ではなくて、すでに存在するストーリーを利 用して楽をしようという映画製作者達のスラップスティックと言ったほうが真実に近い。どんな結果になろうとも、自業自得と呼んでやるのが彼ら(映画を作る 者)のためだ。おぬまは、万一の場合自分の不幸を笑うことができるだろうかと、自虐的な気分を楽しむこともできぬまま待ち合わせ場所の喫茶店へ向かっ た。(つづく)

※概ねフィクションですよ!
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