最近は演出備忘録。
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原作が「童貞放浪記」に決まった。主人公・金井淳が誰になるかはまだ決まっていなかったが、神楽坂恵が演じる役が小説に登場する北島萌という役であること は確定したわけだ。小説は東大を卒業した三十男が童貞を捨てようと七転八倒する内容だが、北島萌は主人公が見初める大学の後輩で、映画ではヒロイン的な存 在となる。北島萌は東京大学の大学院まで進んだ才女であるが、いっぽう性格的には捉え所のない複雑な面も併せ持つ。原作が私小説であるため、北島萌が主人 公の視点からのみ描かれているのが、演じる側としては難しい点である。設定年齢は神楽坂とほぼ同じであるが履歴や性格はずいぶん違う。ただ等身大でやれば よいという役でないことは間違いない。すでに小説を読み終えた神楽坂がいつもより不安げな様子でソワソワしている。本番までに立ちはだかる様々な困難を、 自分の役が決まったことでようやく具体的にイメージできたのかもしれない。彼女があと二ヶ月でこの役を自分のものにできるかどうか、それがこの映画にとっ て最大の分岐点になりそうだ。
脚本の初稿が上がるまでのあいだ、別のリハーサル用台本を用意することにした。おぬまが神楽坂に渡した台本は、以前おぬまが助監督をしたテレビ 版・私立探偵濱マイクの「1分間700円」という作品のワンシーンである。殺人マシーンと化した浅野忠信が人を殺す場面で、神楽坂にはその殺人鬼の役を やってもらう。性別も性格も人生も何もかもが違う人物を演じるとどうなるかを確認しておきたかったのだ。
台本を渡して三日後、神楽坂は何も言われなくてもしっかり台詞を入れてきた。ただ暗記するだけでなく、役について考えながら何度も読んできたことがわかる。彼女がプロの俳優に少し近づいたような気がした。
自分もがんばらねば、とおぬまは強く思った。(つづく)
※概ねフィクションですよ!
脚本の初稿が上がるまでのあいだ、別のリハーサル用台本を用意することにした。おぬまが神楽坂に渡した台本は、以前おぬまが助監督をしたテレビ 版・私立探偵濱マイクの「1分間700円」という作品のワンシーンである。殺人マシーンと化した浅野忠信が人を殺す場面で、神楽坂にはその殺人鬼の役を やってもらう。性別も性格も人生も何もかもが違う人物を演じるとどうなるかを確認しておきたかったのだ。
台本を渡して三日後、神楽坂は何も言われなくてもしっかり台詞を入れてきた。ただ暗記するだけでなく、役について考えながら何度も読んできたことがわかる。彼女がプロの俳優に少し近づいたような気がした。
自分もがんばらねば、とおぬまは強く思った。(つづく)
※概ねフィクションですよ!
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